PV-Net 静岡地域交流会からのお知らせ

NPO法人太陽光発電所ネットワーク(PV-Net)の地域チャプター「静岡地域交流会」の活動紹介です

「台風15号PV被災調査・救援活動プロジェクト」の活動報告

台風15号の被害に遭われた多くの皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

今なお被害は続いていますが、PV-Netとして千葉県会員の被害状況の把握と、停電地域に「電源坊やⅡ」を届けて電気の供給を行うため、9月17日(火)より「台風15号PV被災調査・救援活動プロジェクト」が実施されました。

プロジェクトのメンバーは6名。PV-Net静岡地域交流会からは2名が参加しました。メンバーの1人、世話人の大庭正義さんからリポートが寄せられましたので、ご報告します。

                                       

台風15号PV被災調査・救援活動プロジェクト」を発足させ、現地で活動を行うにあたっては、まず被災先・救援先をどこにすべきかが第一関門でした。

被災から数日が経過し、被災状況・復旧状況は刻々と変化しており、被災先対策本部でも停電はもとより、断水状況や道路決壊等の情報が入り乱れていました。各地域の状況把握ができていないのが現状で、行政任せの地区がほとんどではないかと感じました。

被災が最も激しいとされた南房総市の市役所に赴き、私たちの支援趣旨を伝えたところ、市から紹介いただいた地区は「大井地区」という場所でした。

大井地区は100戸前後からなる地区なのですが、リーダーを中心に組織立って災害対応を行っており、市役所並みの対策が講じられていました。対策本部となった「大井青年館」の敷地内には、隣に変電所があったこともあり、大型の発電機が持ち込まれ、携帯電話の充電ができる設備を整えていました。市役所側は大井地区の状況が把握できていて、被害が大きいながらも、混乱の少ない大井地区であれば、我々の支援の受け入れも可能と考えたのでしょう。

逆に言えば、大井地区より被害が少ないものの、対応が遅れている地域が数多く存在していたのではと予想しています。

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大井対策センター

一方、避難するほどではなく、停電したまま自宅で生活を続ける人たちにとって、

  1. 冷蔵庫が使えず食糧保管に困った
  2. 携帯電話の電池が切れて連絡が取れない
  3. テレビなどから情報が得られない
  4. 夜間の照明が少なく不安

という状況は、大変なストレスになったのではと思われます。

大井地区のような対策本部までとはいかないまでも、各地域には避難場所に設定されている公民館などがあるはず。普通はそこに行けば、携帯電話の充電やテレビによる情報収集は可能です。

しかし、発電機が備え付けてあっても、使用方法がわからなかったり、(長期間使用していなかったことによる)故障で十分に活用できなかったケースは少なくないと聞きます。行政もこれほど長期間にわたって停電が続くことは予想しておらず、発電機の活用を真剣に考えていなかったのではないでしょうか。

また今回、携帯電話の基地局は、停電後でもしばらくの間は備え付けのバッテリーのおかげで通信は可能でした。当然、そのバッテリーが切れてしまえば携帯電話での通話はできなくなります。初動での電源供給は必須。携帯電話事業者であっても、長期の停電は想定できなかった。いわゆる「想定外の出来事」です。

災害は今後ますます甚大化し、「想定外」は「日常」になっていきます。そして、災害に対する心構え、地域のコミュニケーションやリーダーの有無により、適切に対応できるかどうかが変わってくるのだろうと思います。

だからこそ避難場所には、普段使うことのない災害用の発電機を備え付けるのではなく、日常的に使用できる独立電源こそが必要と考えます。決して大きな発電設備でなくとも、先に挙げたような、テレビや携帯電話、灯りのための最低限の電気が作ることができれば十分なのです。

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被害を受けた野立て太陽光発電所も見学

被災地域の方は今回、電気のない生活の不便さを嫌というほど感じたと思います。私がプロジェクト参加している間、その報道を見た私の友人が、家内と今回の千葉県の報道に対して同様の話をしていたようです。そして自身の住む地域(区)に、最低限の電源確保のための「電源坊や」(小型PV独立電源)の備え付け提案をするんだと、意気込んでいたそうです。私どもが考えている災害支援と同じく、最低限必要な電源確保を望んで(理解して)いることが、何よりうれしく感じました。

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持参した『電源坊やⅡ』と大井区長さん、今回のプロジェクトチームのメンバー

「災害は忘れたころにやってくる」は、もはや過去のものになりました。千葉県を襲った台風は、当初は伊豆半島直撃と言われていました。進路が逸れてラッキーでは済まされません。

リーダーがいない地域でも、何とか最低限の生活ができる状況を備える。食べ物や飲み物は備蓄できますが、情報や灯りを長期間確保するための電力については、備蓄する方法がまだ確立していません。実際、支援当日に稼働していた信号機が、翌日帰宅する際には停止していました。信号機の下には、燃料が尽きた発電機が虚しく置かれていました。

大量の灯りを享受し、必要な情報を瞬時に手に入れている現代人にとって、電気がストップしてしまうことは、この上ないストレスです。そんなわけで現代社会においては、太陽光発電と蓄電池で日常的に電力の確保を備えておくことこそが、いま行うべき一番の災害対策だと考えます。

PV-Netとして、生活する上での最低限の電源確保をいかにお伝えするか――。現商品である「電源坊や」を時代のニーズに合わせて変革し、提供できるよう地道に活動して行っていきたいと思います。